こんにちは、ヤマトです。
今回はライブで音響さんとか呼ばれてるPAの仕事とその基本的な仕組みについて解説していきます。
ライブを行うときは音響はもちろんですが、照明やステージなど色々な仕事を担当する人がいます。
今回はそんな仕事を僕が実際にサークルで行っている機材をもとに解説していきます。
ハイレベルなことは置いておいて、最低限これさえ知っておけばなんとかなるという基本のきをお伝えできればと思います。
特に今回は音響の仕事にフォーカスを当てていきたいと思います。
ライブの裏方にはどんな仕事が?
まずはどんな仕事があるのか簡単に解説しますね。
PA(音響)
まず最も大きな役割を果たしているPAについてです。
音響というとレコーディングにおけるエンジニアさん、ライブにおけるエンジニアさん、その他音響に関わる人全てを指します。
その中でも特にライブで音響を担当する人のことをPAエンジニアといいます。
ではそのPAについてですが、パブリックオーディオ(Pablic Audio)の略で、簡単に言えばライブで流れている音を全て管理しています。
出演者が奏でている楽器の音や歌っているマイクの音はもちろん、始まる前のSEと呼ばれる音楽、出演者が転換するときの転換BGM、、、
こうした全ての音をPAの担当の人は全て一人で管理しています。
照明
照明は言葉のままですが、ステージ上のライトの操作を担当している人です。
背面にライトを並べて色を変えたり、動かしたりする場合もありますし、客席側からステージにいる演者を照らす場合もあります。
照明を使うことで、曲目に合わせて雰囲気を演出したり、リズム感のあるパートで点滅させたりと演者とともにステージを作る仕事になります。
下に貼っている動画は僕の大学の文化祭のライブですが、夜の屋外ステージのため、照明がとてもわかりやすいので、見てみてください。
ステージ
ステージスタッフなんて言ったりもしますが、PAの手足としてステージ上のものを扱う仕事です。
ドラムに立てているマイクの位置を調整したり、マイクスタンドの位置を調整したりと、PAの手足となって動く仕事です。
この後具体的に解説しますが、エレキギターやベースは基本的にアンプで音を作って、マイクで拾って流すのが基本です。
そうしたマイクの位置の調整などはステージの仕事となります。
ライブでPAが使う機材
まずはPAをやる上で必要な機材を紹介します。
と、その前にまずはケーブルの先端部分である、コネクターの種類について解説します。
コネクターにはイヤホンジャックも含まれます。
コネクターの種類
6.3mmフォーン端子(アンバランス)
フォーンと呼ばれることの多いコネクターですが、ギターに挿すシールドのコネクターです。
エレキギター、エレアコ、ベース、キーボードどれでも使うことが多いノーマルな端子です。
このタイプはアンバランスと呼ばれ、転送距離が長いとノイズ(雑音)が乗りやすいです。
そのため多くのシールドは長くても5m程度のことが多いです。
XLR端子、キャノン端子(バランス)
これはマイクを繋ぐときに使われるものですね。
ピンが3つあるので、3ピンとか呼ばれたりします。
このタイプはバランスと言って、転送距離が長くてもノイズが乗りにくいです。
そのため10mのものもありますし、2本以上を繋げて長い距離飛ばすこともできます。
RCA(アンバランス)
近頃は使われることがめっきり減っているそうですが、スピーカーなどの音響機器でいまだに使われている端子です。
赤がR(右)になっている、2つに分かれているタイプのケーブルです。
イヤホンジャックとRCAというパターンのものもあり、ミキサーに直接接続ができるため、スマホやパソコンから転換BGMなどを再生することができます。
スピコン端子
speakON端子と書きますが、音をただ送るだけでなく、増幅された音を送ることができます。
は?と思うと思いますが、増幅された音を普通のケーブルと送ると最悪の場合溶けます。
ですがスピコンケーブルは電気と音を送っても溶けないように設計されています。
パワードミキサー
ここからはいよいよ機材についてです。
そもそもミキサーとはということについてです。
ライブではアコギで弾き語りをするにしても、アコギとマイクの2つから音が出るということになります。
すると2つの音を適当に出したんでは、音量バランスがぐちゃぐちゃになってしまいます。
ミキサーは複数の音をミックスして、音量バランスなどを調整するための機材となります。
しかしここで解説するのは"パワード"ミキサー。
パワードとは音を増幅することができるということです。
信号で送られてくる音というのはとても小さくライブはおろか聞き取ることができません。
そこで音を電気で増幅させます。
すると爆音でも鳴らすことができます。
これはスマホやBluetoothスピーカーにも必ずついているものになります。
パワードミキサーはただ混ぜるだけでなく、増幅することもできます。
そしてこの増幅することのできる装置を一般的にアンプと言います。
ギターで使うアンプも増幅する機能がついているからアンプと呼ばれるのですね。
DI(ダイレクトボックス)
ではミキサーに音を入れるためにはどのようにすれば良いのでしょうか。
先ほど解説した通り、ミキサーは一般的にステージの横幅と同じ距離、離れたところに設置します。
会場によっては10m以上の距離となってしまうことも珍しくはありません。
するとフォーン端子では雑音が乗ってしまいます。
そのためXLRに変換する必要があります(アンバランスとバランスですね)。
それを行ってくれるのが、DI(ダイレクトボックス)です。
DIでバランスにした音を遠くまで飛ばします。
そしてDIの役割にはインピーダンスを調整するというものがあります。
インピーダンスとはΩという単位で表される電気抵抗のことです。
このインピーダンスを600Ωという値に持っていきます。
インピーダンスを下げることで、雑音の少ない音にすることができます。
一般的にロー出しハイ受けなんて言ったりしますが、低いインピーダンスで出力して、高いインピーダンスで入力されるという意味ですが、ここら辺については割愛したいと思います。
ちなみにこのインピーダンスですが、高いことで知られるベースの場合、数百K〜1MΩという極めて高い数値となっています。
そんな状態で音を出したら、ノイズが乗りまくってしまうので、インピーダンスを下げるというわけですね。
マイクは最初からバランスで、インピーダンスも低いので、そのまま入力できます。
マルチボックス(マルチコネクター)
そうは言っても10m以上あるXLRケーブルを何本も用意するのは大変です。
そこでマルチボックスの登場です。
太いホースで繋がっており、一気のたくさんのXLRを延長することができます。
これをステージにおいておけば、マルチまでの3〜5m程度音を運ぶことができれば、ミキサーまで一気に転送できます。
そのためのものなので必須とまでは言いませんが、あるととても便利です。
スピーカー
この場合のスピーカーはお客さんに届けるためのメインスピーカーのことを指します。
もちろんステレオなので2つ要りますよ!
パワードミキサーからスピコン端子のついたケーブルを使って、転送します。
パッシブと言われる、増幅することのできないスピーカーの場合はスピコンですが、増幅することができるスピーカーであれば、音を飛ばすだけで大丈夫です。
この場合はスピコンを使う必要はありません。
モニターアンプ(転がし)
ライブに出演すると大概おいてあるであろう転がし。
これは自分が今どんな音を出しているのかを演者に教えてあげるものです。
特定の音を大きくしてほしいなどの要望を出してくる場合もあります。
マイクを小さくしてギターを大きくしてほしいなどですね。
エフェクターを使う場合などには特に気を遣う人が多いので、重要になってきます。
ただこちらは機材が増えることを避けるために、音を増幅することのできるアクティブ(アンプ内蔵)タイプを使うことをお勧めします。
こうすればただ音を送るだけで、モニターとして使うことができます。
ライブにおける基本的な音の流れ
ライブにおいてどのように演者が弾いた音がお客さんに届けられるのか、それを簡単に解説したいと思います。
今回は下記の楽器を演奏するバンドがいると仮定してお話ししようと思います。
エレキギター&ボーカル×1人
エレキギター×1人
ベース×1人
ドラム×1人
キーボード×1人
バンドとしてはよく見る構図だと思います。
1、それぞれの音を集めて、ミキサーに送る
まずはマイクで音を拾います。
ボーカルはもちろんマイクを使うので、そのまま拾います。
エレキギターやベースはギターアンプやベースアンプから音を出して、そのアンプの前にマイクを立てて音を拾います。
ドラムはそれぞれにマイクを立てます。
キーボードは直接音を取ります。
こうして集められた音はミキサーと呼ばれる機材に送られます。
2、ミキサーで調整をする
送られてきた音の音量バランスをミキサーで調整します。
多くのミキサーの場合、エフェクターをかけることができます。
例えばボーカルマイクに少しだけエコーやリバーブをかけると、響いているようになり、歌が上手く聞こえます。
カラオケにあるエコーと同じです。
3、スピーカー、モニターアンプに送る
スピコンを使ってスピーカーに、フォーンやXLRを使ってモニターアンプに送ります。
たったこれだけでとりあえず音は出ます。
パワードミキサーの使い方
パワードミキサーは音を入れて、スピーカーに出せば音を鳴らしてくれますが、そんな簡単なことではありません。
ですが、難しく考えることもありません。
1、音を入力する
まずはチャンネル1から順番に楽器やマイクの音を入力しましょう。
マルチを使っている場合は対応する番号に差し込めば入力できます。
2、GAIN(ゲイン)を調整する
ゲインは入力する量についてを調整します。
これが大きすぎると何をしても音割れします。
そのチャンネルの一番下のつまみの近くにPeakと書いてあるランプがあると思いますが、これがマックス音量で光らないギリギリがベストと言われています。
はぁ、、、って感ですよね笑
まずPeakになると音割れします。
なのでその楽器が鳴らす最も大きな音でPeakに行かなければ大丈夫というわけですね。
ギターだとエフェクターを通した音などがそれに該当すると思います。
【コラム】26dBボタンについて
26dBと書かれたボタンがあることがあります。
これは入力される音があまりにも大きくて、どれだけ削ってもピークにいってしまうときに使うボタンです。
これを押すと入力量が削られます。
するとゲインの調整がしやすくなります。
ぜひ一度押してみてください。
3、ST(マスター)を0にする
どういうこっちゃという話ですが、先ほども解説した通り、音量バランスを調整するのがミキサーの役割です。
ですが、全体の音量を引き上げるとなると1つずつ操作していてはキリがありません。
そこでマスターと呼ばれる全体の音量を調整するツマミがあります。
これを一番下から0にします。
すると音を出すことのできる状態となります。
4、チャンネルをONにする
チャンネルごとにONとOFFを切り替えることができます。
例えば演奏中にギターの弦が切れて、ギターを交換することになったとします。
シールドをいきなり抜くとバチッと大きな音がして、耳が壊れるだけでなく、スピーカーが壊れることがあります。
そんなときにONスイッチを切ることで、音を切ることができます。
ゲインなどを操作する必要がないため、ギターを一瞬で取り替えたりする際に非常に役立ちます。
これをONにしない限り、入力されても出力されることはありません。
なのでゲインを調整したらまずはONにしましょう。
5、チャンネルの音量を上げる
音を出しながら(ギターなら弾きながら)チャンネルの音量を上げるとスピーカーから音が出始めます。
これと同じ作業を延々とすると全ての楽器の音を出すことができます。
バカみたいですが、やるしかありません笑
ライブで音出しが〜みたいなことを聞いたことがあるかもしれませんが、ステップ2と4を全ての楽器で行っている状態です。
まとめ
ここまで色々書いてきました。
詳しい使い方はまだまだあります。
というかまだ全体の1割にすら辿り着いていません。
僕も所詮は素人なので、全ての機能を理解できているわけではありません。
でもとりあえず爆音で鳴らすことくらいはできるようになりました。
あとはボーカルにエフェクターをかけたり、うるさい音域をカットしたりそういった段階に入っていきます。